The hound of the books & movies (Curious Papers)

12. Curious Papers (Hen-na Ronbun)

世の中には「変な論文 」が多くある。

それらを紹介しているのが、この ↓ 本である。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

著者はお笑い芸人で、すでに「続編」も出ている。

たとえば、この ↓ ような「変な論文」が取り上げられている。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

「どうでもいいことにこだわる」のが変な論文である。

たとえば、普通は「あくびはなぜうつるか」という疑問にこだわらないが、ここを徹底的に調べたのが、この ↓ 論文である。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

しかし、このどうでもいいことこそ「奥深い」のである。

たとえば、この研究では「4歳まではあくびはうつらない」といった面白い研究結果が報告されている。

The hound of the books & movies (Curious Papers)
The hound of the books & movies (Curious Papers)

そして、「あくびがうつる原因」は「共感性」であるという仮説が出されている。
(興味がある人は、ぜひ、この本を読んでみてほしい。)

個人的に興味があるのは、やはり言語に関係するこの論文である。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

この論文では「なぞかけ」の面白さがどこからきているかを研究している。
(なお、なぞかけで有名なお笑い芸人の「ねづっち」についてはThe sign of the language (Q5) を参照)

The hound of the books & movies (Curious Papers)


この論文のウリは「おもしろさ」という感覚的なものを、よりつっこんで具体的に分析しているところにある。
そして、「意外性」だけでなく、「理解できるスピード」も大事になるという指摘が面白い。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

よって、今回の仮説はこれ ↓ だ。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

この「なぞかけ」論文に興味がある方は、こちら ↓

https://drive.google.com/file/d/1ubozhGpX3CRnT95j1amMX7xQcuHsqG-L/view?usp=sharing

ちなみに、『変な論文』のクリアーファイルも使っている今日この頃である。

The hound of the books & movies (Curious Papers)


(to be continued)


****補足:「隠喩」について ****

以前、共著で次のような本を出した。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

この本の目的の1つに、言語学に関する「研究ネタ」を紹介するというのがある。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

たとえば、このようなテーマを扱っている。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

上の目次にあるように、今回のなぞかけにも関係する比喩(メタファー)もテーマとなっている。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

確かに、怒りは爆弾のように「爆発するもの」に譬えられる。
一方、「悲しみが爆発する」という言い方はしないことから、「悲しみ」は「爆発するもの」に譬えられない。

なぜだろうか?

その理由を認知文法では、以下のように「説明」をしている。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

つまり、「怒り」を感じたときの身体反応(顔が赤くなる等)が、容器に入れた液体が沸騰するのに似ているため、怒りは「爆発するもの」という比喩で表される。
一方、悲しみはそのような比喩とは合わないため、「爆発する」とは言えないことになる。

The hound of the books & movies (Curious Papers)

この問題は面白い。
ここでいう「面白い」とは、さらに深く追求できるという意味である。

ここでは、さらなるテーマを2つあげておく。

① 喜びも爆発するのはなぜか?

「怒り」だけでなく、「喜び」も「爆発するもの」に譬えられる。

例: 試合に勝って、喜びが爆発した。
The hound of the books & movies (Curious Papers)

しかし、楽しみが爆発したとは言えないことから、喜怒哀楽の中で「怒り」と「喜び」だけが「爆発」の比喩が可能である。

これはなぜだろうか?

ちなみに、英語でもjoy (喜び)に対してexplode (爆発する)が使われる

... It is Marion! Wallace Marion! Is... is it you? Joy explodes on his face, and he runs to her

② 「怒り」に対して、日本語と英語でどのような比喩が使われるのか?

The hound of the books & movies (Curious Papers)

Let off steam (蒸気を出す)が「怒り」に結びつくのは、この ↓ ようにイメージできる。

怒り=熱量が上がる=湯気的なもの(蒸気など)が出る

The hound of the books & movies (Curious Papers)

しかし、get hernia (ヘルニアを起こす)やhave a cow (牛を生む)などがどうして「怒り」と結びつくかはイメージできない。

She had a cow when I said I was going to buy a motorbike.
The hound of the books & movies (Curious Papers)

慣用句的なので、歴史的な成り立ちがあるだろうが、ヘルニア(hernia)や牛 (cow) を 「怒り」に結び付けているところが面白い。

このように、いろんな言語で「怒り」がどう表現されているかを比較することで、人間の思考に迫れる可能性がある。

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スケロック・ホームズ
スケロック・ホームズ
コンサルタント言語探偵 (自称)

我々が言葉を用いるときに、暗黙のうちに、何らかの規則に従っていることは明らかである。しかし、一体どんな規則に従っているのであろうか?たとえば、
「人の悪口は言わない!」の「人」は「他人」のことである(=「他人」の悪口は言わない!)
「人の悪口を言うな!」の「人」は「自分」のことを指せる(=「俺」の悪口を言うな!)

なぜ、「人」が「他人」も「自分」も指せるのかを説明することは難しいが、日本人ならいとも簡単に使える。

規則をはっきり意識できない、説明できないのに使える。

ここに「ヴィトゲンシュタインのパラドックス」が存在する。

言語は面白い。そのなぞ解きはさらに面白い。

The only promise a puzzle makes is an answer.

誰に頼まれることがなくても、言語の謎を解明し続けるが、依頼はいつでも受け付けている。

There's nothing more hazardous to my health than boredom.