The hound of the books & movies (Summer Wars)
2020/08/23
翻訳の大御所の一人に、柴田元幸さんがいる。
東大の教授であり、村上春樹さんともよく一緒に翻訳をやっている人だ。
柴田さんはneverの訳について、次のように語っている。
neverのように「馴染みのある」語でも適切な日本語訳を当てることは難しい。
ましてや、日本語特有の表現についてはなおさらである。
今回は、日本語特有の表現の英訳についてみていく。
16. Summer Wars
夏の映画といえば、『サマーウォーズ』だろう。
なんといっても上田市が舞台となっている。
この映画は、狂ったネット上の仮想世界から現実世界を守るために、大家族が一丸となって立ち向かうという話である。
どんなハイテクなネットワークよりも、家族という絆は何よりも強力なネットワークであるという強いメッセージが込められている。
個人的には肝っ玉おばあちゃんのセリフが大好きであるが、
今回は、戦いのクライマックスで主人公が叫んだ「よろしくお願いします!」というセリフを取り上げる。
まず考えないといけないのは、この「よろしく」というのは日本語特有の表現であるため、英語にしづらいということである。
(『英語にない日本語』フォーンクルック幹治 著 より)
そのため、どうい状況で「よろしく」を使っているかを考える必要がある。
今回取り上げた場面では、タイムリミットが迫る中、主人公が超困難な暗号を解読するも、
東大の教授であり、村上春樹さんともよく一緒に翻訳をやっている人だ。
柴田さんはneverの訳について、次のように語っている。
neverのように「馴染みのある」語でも適切な日本語訳を当てることは難しい。
ましてや、日本語特有の表現についてはなおさらである。
今回は、日本語特有の表現の英訳についてみていく。
16. Summer Wars
夏の映画といえば、『サマーウォーズ』だろう。
なんといっても上田市が舞台となっている。
この映画は、狂ったネット上の仮想世界から現実世界を守るために、大家族が一丸となって立ち向かうという話である。
どんなハイテクなネットワークよりも、家族という絆は何よりも強力なネットワークであるという強いメッセージが込められている。
個人的には肝っ玉おばあちゃんのセリフが大好きであるが、
今回は、戦いのクライマックスで主人公が叫んだ「よろしくお願いします!」というセリフを取り上げる。
まず考えないといけないのは、この「よろしく」というのは日本語特有の表現であるため、英語にしづらいということである。
(『英語にない日本語』フォーンクルック幹治 著 より)
そのため、どうい状況で「よろしく」を使っているかを考える必要がある。
今回取り上げた場面では、タイムリミットが迫る中、主人公が超困難な暗号を解読するも、
果たしてそれが合っているのか分からないという状況で、覚悟を決めてパスワードを打ち込むというシーンである。
この場合の「よろしく」はどう訳すといいだろうか?
実は、この映画には英語字幕はついていない。
しかし、私 (自称シャーロック・ホームズ)は「翻訳コンニャク倶楽部」という謎の倶楽部とも精通しており、
そのメンバーは以下のように英訳している。
つまり、やることはやったので、「後は運命に任せる」という発想である。
なかなかの名訳である。
このように、「よろしく」は英語にはない表現であるため、この場面をどう解釈するかによって、いろんな英訳が可能である。
みなさんなら、どう英訳するだろうか?
ちなみに、単語レベルでも日本語特有の表現がある。
この場合も、使われる状況を考えて適切な英訳をする必要がある。
例えば、「味のある」という日本語は状況によって英訳が異なる。
(『訳せそうで訳せない日本語』 小松達也 著より)
英訳は奥深い。
今後も「翻訳コンニャク倶楽部」の翻訳作品を紹介していこう。
(to be continued)
*****「補足資料」 ****
「翻訳コンニャク倶楽部」のメンバーは英訳だけでは物足りず、
この場合の「よろしく」はどう訳すといいだろうか?
実は、この映画には英語字幕はついていない。
しかし、私 (自称シャーロック・ホームズ)は「翻訳コンニャク倶楽部」という謎の倶楽部とも精通しており、
そのメンバーは以下のように英訳している。
つまり、やることはやったので、「後は運命に任せる」という発想である。
なかなかの名訳である。
このように、「よろしく」は英語にはない表現であるため、この場面をどう解釈するかによって、いろんな英訳が可能である。
みなさんなら、どう英訳するだろうか?
ちなみに、単語レベルでも日本語特有の表現がある。
この場合も、使われる状況を考えて適切な英訳をする必要がある。
例えば、「味のある」という日本語は状況によって英訳が異なる。
(『訳せそうで訳せない日本語』 小松達也 著より)
英訳は奥深い。
今後も「翻訳コンニャク倶楽部」の翻訳作品を紹介していこう。
(to be continued)
*****「補足資料」 ****
「翻訳コンニャク倶楽部」のメンバーは英訳だけでは物足りず、
勝手に『サマーウォーズ』の実写版をつくり、そこに英語字幕を載せている。
実際に確かめたい人は、こちら ↓
(2分半ほどのシーンをあげているので、他の英訳もチェックしてほしい。)
https://www.youtube.com/watch?v=QQgEoX_S0a4&t=107s
(*なお、特典映像もつけてあるので、そちらも是非、見てみてほしい。)
実際に確かめたい人は、こちら ↓
(2分半ほどのシーンをあげているので、他の英訳もチェックしてほしい。)
https://www.youtube.com/watch?v=QQgEoX_S0a4&t=107s
(*なお、特典映像もつけてあるので、そちらも是非、見てみてほしい。)
この記事へのコメント
講義がとても面白かったので、ブログもじっくり読ませていただいております。
翻訳って、本当に難しいなあと思いましたし、せめて英語が原語の映画は1回きちんと英語を聴き取る努力をした方がいいなあとあらためて思いました。勉強になります。ありがとうございました。
Posted by しばいぬ at 2022年08月08日 12:20
コメント、ありがとうございます。翻訳は難しいですよね。でも、そこが面白いところでもあるので、是非、一緒に翻訳対決しましょう(笑)。
映画の英語も全部聞き取るのは至難の業ですから、映画を楽しみながら、聞けるところは聞くくらいでいいと思います。今後も、何かあれば気楽に連絡ください!
Posted by スケロック・ホームズ at 2022年08月08日 14:45