The sign of the language (Q13)

前回 (The sign of the language (Q12))の Quiz2 (ジョーク問題)の答え。

The sign of the language (Q13)


13. Countable vs. Uncountable

次の2つの文には、どんな意味の違いがあるだろうか?

The sign of the language (Q13)

上の文は a があるかないかだけの違いであるが、イメージされるものは大きく異なる。
(『日本語で理解する英文法』 川村健治 著より)

The sign of the language (Q13)

コーヒーには「形」がない。果てしなく続く液体である。
つまり、「決まった形」がないため、aをつけて「1つ」と数えられない

一方、カップなどの容器に入った状態だと、a coffeeとなる。
ただし、この場合もコーヒーは数えていない。
あくまで「コーヒーが入った容器 (a cup of coffee)」を数えている

実際、a coffee的な言い方はスタバなどのお店で注文する場合に限られる。
さらに、同じ飲み物でもwineはa wineとなることがほとんどない
(『見える英文法』 刀祢雅彦 著より)

The sign of the language (Q13)

paper(紙)やbread(パン)などにも同じことが当てはまる。
紙やパンなどには「決まった形」がないからである。
半分に切っても「紙/パン」だし、サイズも自由に変えられる。

The sign of the language (Q13)

そのため、paper自体を数えるのではなく、A4、B4などのように紙を区切ったもの(=ピース)を数える ({a piece / two pieces}of paper)。

実は、coffeeやpaperなどの物質の数え方は日本語の数え方と同じである。
(『英語冠詞の世界』 織田稔 著より)

The sign of the language (Q13)

これに対して、「本」や「人」などは決まった形がある
事実、半分だけしかない本や人は、もはや「本」や「人」とは呼べない

The sign of the language (Q13)

このような決まった形があるものには aや数字を直接つけることができる (a book / two books)。

「数えられる」ためには「決まった形」が必要なのである。

逆にいえば、a がついた場合は「全体」がイメージされる。

The sign of the language (Q13)

an eelだと「ウナギ一匹(=全体)」になるが、eelだと「ウナギの身(=一部)」になる。

日本語でも「一匹の鮭を食べた」というと、鮭を丸ごと食べたという意味になる。

The sign of the language (Q13)

この日本文の感覚は、英語ではa の有無で表される。

The sign of the language (Q13)

この点に関連して、今回は日本語の数え方に関する問題を取り上げる。


<Quiz 1>

日本語では「人」を数えるときに、なぜ「3の人」のようにわざわざ「人」を使うのだろうか?

The sign of the language (Q13)

英語では「人」や「本」のような数えられるものには、aや数字をつけるだけである。

The sign of the language (Q13)


<Quiz 2>

次の数式に隠されている言葉遊びは何か? (『日本語あそび学』より)

The sign of the language (Q13)


*「答え」は後日、「コメント」欄に提示 (次のQuizの冒頭に書く場合もある)


**** <補足コメント> ****

実写版「カオナシ」。

The sign of the language (Q13)

絶妙な首の傾き度がポイント(顔はあるけどカオナシというのもポイント)。

カオナシは顔もないし、サイズも変わるし、下半分がなかったりする。
カオナシはpaperみたいなやつだなぁ。

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我々が言葉を用いるときに、暗黙のうちに、何らかの規則に従っていることは明らかである。しかし、一体どんな規則に従っているのであろうか?たとえば、
「人の悪口は言わない!」の「人」は「他人」のことである(=「他人」の悪口は言わない!)
「人の悪口を言うな!」の「人」は「自分」のことを指せる(=「俺」の悪口を言うな!)

なぜ、「人」が「他人」も「自分」も指せるのかを説明することは難しいが、日本人ならいとも簡単に使える。

規則をはっきり意識できない、説明できないのに使える。

ここに「ヴィトゲンシュタインのパラドックス」が存在する。

言語は面白い。そのなぞ解きはさらに面白い。

The only promise a puzzle makes is an answer.

誰に頼まれることがなくても、言語の謎を解明し続けるが、依頼はいつでも受け付けている。

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