Introduction

私の研究室はN館(通称) のベーカーストリート(自称)の230Bにある。



ここに、数多くのことばの謎の解明依頼がくるが、未解決の面白いトピックが山ほどある。この章では、そのトピックを紹介していく。
まだ、考察中であるため、「短編」のような形で徒然なるままに書いていく。

ことばの謎を一緒に解いてくれる「助手」は、今のところワトソン君だけである。私のような「変人」には近づかないからだ。

つまり、深刻な人手不足なのだ。
そういうわけで、興味がある謎があれば、一緒に考えてもらいたい。


1. if / though

問題: if とthoughが同じ意味を表す場合があるのはなぜ?

Ifは「条件」を表し、thoughは「逆接」を表す。

たとえば、If you are rich, … は「あなたがお金もちなら」という「条件」を表すが、
Though you are rich, … は「あなたはお金もちだけど」という「逆接」を表す。

このように、ifとthoughは意味が違う。

しかし、「この2つが同じ意味を表す場合がある」のだが、思いつくだろうか?




答えは、evenがつく時だ。

even if = even though = たとえ~でも

Even if/though you don’t like it, you must do it. (たとえいやでも、やらねばならぬ)

なぜ、evenがつくとif (条件)とthough (逆接)が同じ仲間にあるのだろうか?

さらに面白いことに、同じ現象は日本語にもみられる。

おわかりだろうか?

それは、「も」だ。

全力で走って、間に合わないだろう。 [ も=条件]
(=もし全力で走ったとしても、)
全力で走って、間に合わなかった。 [ も=逆接 ]
(=全力で走ったけど、)

上の例にあるように、日本語の「も」は「条件」も「逆接」も表す

なぜ、異なった意味を表す「条件」と「逆接」が関係する場合があるのだろうか?

この謎を解くには、「条件」と「逆接」という意味をさらに深い次元で捉える必要がありそうだ。

“Vision is the art of seeing the invisible.” (Swift)
(洞察力とは、見えないものを見る技のことである -スウィフト (作家)-)

(to be continued)

<関連資料:『実践ロイヤル英文法』>



< 2019年02>
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プロフィール
スケロック・ホームズ
スケロック・ホームズ
コンサルタント言語探偵 (自称)

我々が言葉を用いるときに、暗黙のうちに、何らかの規則に従っていることは明らかである。しかし、一体どんな規則に従っているのであろうか?たとえば、
「人の悪口は言わない!」の「人」は「他人」のことである(=「他人」の悪口は言わない!)
「人の悪口を言うな!」の「人」は「自分」のことを指せる(=「俺」の悪口を言うな!)

なぜ、「人」が「他人」も「自分」も指せるのかを説明することは難しいが、日本人ならいとも簡単に使える。

規則をはっきり意識できない、説明できないのに使える。

ここに「ヴィトゲンシュタインのパラドックス」が存在する。

言語は面白い。そのなぞ解きはさらに面白い。

The only promise a puzzle makes is an answer.

誰に頼まれることがなくても、言語の謎を解明し続けるが、依頼はいつでも受け付けている。

There's nothing more hazardous to my health than boredom.