<英語は「強弱リズム」である>




<どの語にアクセントを置くかで文の意味が変わる>




(なお、英語のアクセントと意味の関係については、The valley of ear (ch. 11)を参照)


12. Rhapsody (Gargoyles, Angels of Darkness)

母音は「口の開き方」で区別される。
(母音の三角形については、The valley of ear (ch. 9)を参照)



上の図にあるように、もっとも口を大きく開けると「ア」の音になるが、少し口を小さくして奥で発音(=口をすぼめて発音)すると「オ」になる



このことを「えなりくんのものまね」を例にみてみよう。



えなりくんのモノマネのポイントは、「ア」を「オ」でいうということである。



えなりくんの言い方の特徴は「やや口をとがらせる」ことである。

「口をとがらす」と必然的に「口が狭くなる」のと「奥で発音する」ことになる

これを母音の三角形に当てはめると、「あ」ではなく「お」の音になる



つまり、「口をややとがらせて言う」ため、必然的に「あ」が「お」のようになるのである。

このように、母音ははっきとした「区切り」があるわけではなく、一定の範囲の間を動く「線上」で捉えられるものである。

そのため、言語によっては「母音の守備範囲」が異なる

たとえば、英語のOは日本語よりも口を大きく開けて発音するため、「ア」に近い。



さらに、英語は「強弱リズム」であるため、「えなりくんのものまね」のようなことが起こりやすい。

具体的にいうと、強く発音する場合は「口が大きく」なり、弱く発音する場合は「口が狭く」なるため、「隣接する母音」に変化することが多い



そのため、このような「空耳」が可能になる (RhapsodyのGargoyles, Angels of Darkness)。



ここでは、do itのoとiの母音に注目すると、doをかなり強く発音しているため、「ドゥ」が「ドォ」になっている
また、英語のiは「エ」に近いが、口を大きく開けたままiを続けて発音しているため、「ア」に近く聞こえる




実際に確かめてみたい人はこちら ↓

https://www.amazon.co.jp/clouddrive/share/7PMtnb8I6BegeDgWfGPRLrhR28CpB4rbPEFbJ05gAq4


≪補足映像資料≫

1.同じく ‘do it’ の空耳である本家の作品 (Van McCoy and the Soul City Symphonyの「The Hustle」) 。
この場合、do itがどう聞こえるかチェックして、各自で分析してみてほしい。



2.先ほどの「えなりくんのものまね」映像。詳しい解説付き。


母音に「区切り」があるわけではない。そのため、以下のようなことが起こる。

(i) 言語によって「母音の質」が異なる。
(ii) 口の開き方によって、母音の聞こえ方が違ってくる。


(to be continued)

**** <補足コメント> ****

空耳サークルの第3号作品は、JJ福井(初代副部長)のこの作品である。



実際の映像は上で紹介したサイトで聞けるので、ぜひ、聞いてみてほしい。

< 2019年07>
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コンサルタント言語探偵 (自称)

我々が言葉を用いるときに、暗黙のうちに、何らかの規則に従っていることは明らかである。しかし、一体どんな規則に従っているのであろうか?たとえば、
「人の悪口は言わない!」の「人」は「他人」のことである(=「他人」の悪口は言わない!)
「人の悪口を言うな!」の「人」は「自分」のことを指せる(=「俺」の悪口を言うな!)

なぜ、「人」が「他人」も「自分」も指せるのかを説明することは難しいが、日本人ならいとも簡単に使える。

規則をはっきり意識できない、説明できないのに使える。

ここに「ヴィトゲンシュタインのパラドックス」が存在する。

言語は面白い。そのなぞ解きはさらに面白い。

The only promise a puzzle makes is an answer.

誰に頼まれることがなくても、言語の謎を解明し続けるが、依頼はいつでも受け付けている。

There's nothing more hazardous to my health than boredom.