The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

新しい本棚が届いた。お気に入りのデザインだ。

自称ベーカーストリートN230にある研究室に置いているが、組み立ての説明書が中国語であった。
中国の学生に確認してもらったところ、説明書なのになぜか話し言葉で書かれているそうだ。
そして、なぜか組み立てている人の顔までバッチシ写っている。

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

" I wish I could read simplified Chinese characters (中国語の簡体字)."

今回も引き続き、仮定法 (subjunctive)について考察していく。


8. subjunctive and modal verbs

問題: 仮定法の「目印」は何か?

ここでのポイントは、仮定法はif節がなくてもいいということである。
(この点に関してはThe case study of Sukelock Holmes (ch. 7)も参照。)

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

この点に関して、第二言語習得の観点からも以下の指摘がされている。
(『英語指導における 効果的な誤り訂正』 白畑知彦 著より)

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

つまり、「if節=仮定法」ではない。

では、仮定法の「目印」となるのは何であろうか

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

仮定法で中心的な働きをしているのは助動詞である。
(過去形が使われることに関しては、The case study of Sukelock Holmes (ch. 7)を参照)。

実際、上でも述べたように、if節がなくても助動詞のwouldやcouldがあれば仮定法になる。

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

助動詞が仮定法の「主役」になるのは、仮定法の意味を考えると理解できる。
仮定法は基本的に「推量」と「話者の気持ち (願望など)」を表す。

① 仮定法は「推量」を表す。

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)


② 仮定法は「話者の気持ち」を表す。

<I wish~ (~ならいいのになぁ) = 話者の気持ち>

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)


<仮定法を言い換えると、「感情」を示す表現 (話者の気持ち)が使われる>

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)
The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)


この「推量」と「話者の気持ち」の2つの意味は、助動詞の中心的な意味でもある。

①助動詞の多くは推量 (=可能性)を表す。
(この点に関しては、The case study of Sukelock Holmes (ch. 2)を参照)

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

② 助動詞は「話者の気持ち」を表す。

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

つまり、「仮定法が表す意味にマッチするのが助動詞であるため、仮定法には助動詞が使われる」のである。

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)
The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)


英語の仮定法と日本語の仮定法を比較するのも面白いだろう。

仮定法については、さらに考察を進めていくことにする。


(to be continued)


***** <補足コメント: if節にshouldを用いる仮定法>****

同じベーカーストリート(自称)に住むダルトン夫人によると、

if節にshouldを使うのは主にイギリス英語である

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

さらに、「聞いたことはあるけど、アメリカ人は使わないと思う。少なくとも、自分は使ったことがない」とのことであった。

これに関連して、以下の文についても面白いコメントをもらえた。

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

この場合、「確かにwillであってwouldは変である」とのことであった。

その理由として、上の文は次のように if節が現在形の「条件文」で言い換えるのが自然だからだそうだ。

If the bus comes early, I will drive you to the station.

つまり、そもそも仮定法ではなく、条件文のためにwillがくるとのことだ。

このことから、以下のことがいえる。

if節のshouldはあくまで「万が一に備えると」という感じの「条件文」であって、その後が仮定法になるかどうかは文脈次第である。

実際、『実践ロイヤル英文法』にも同じような指摘がある。

The case study of Sukelock Holmes (ch. 8)

仮定法にもアメリカ英語とイギリス英語の違いがあることが面白い。

なお、ダルトン夫人は「仮定法はフォーマルであり、あまり話し言葉では使わない」とも言っていた。

“Subjunctive is dying.” (仮定法ってなくなりつつあるよね。)

とのコメントはインパクトがあった。

この点については、コーパスなどから多くのデータを見て調査してみても面白いだろう。

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コンサルタント言語探偵 (自称)

我々が言葉を用いるときに、暗黙のうちに、何らかの規則に従っていることは明らかである。しかし、一体どんな規則に従っているのであろうか?たとえば、
「人の悪口は言わない!」の「人」は「他人」のことである(=「他人」の悪口は言わない!)
「人の悪口を言うな!」の「人」は「自分」のことを指せる(=「俺」の悪口を言うな!)

なぜ、「人」が「他人」も「自分」も指せるのかを説明することは難しいが、日本人ならいとも簡単に使える。

規則をはっきり意識できない、説明できないのに使える。

ここに「ヴィトゲンシュタインのパラドックス」が存在する。

言語は面白い。そのなぞ解きはさらに面白い。

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誰に頼まれることがなくても、言語の謎を解明し続けるが、依頼はいつでも受け付けている。

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