The adventures of Sukelock Holmes (complete CGEL)

スケロック・ホームズ

2021年08月10日 17:05

13. Coordination

東京オリンピックが終わった。

無観客であったが、逆に選手たちの真剣勝負がより伝わってきて、迫力があった。

個人的にはフクヒロペアの激闘が見れてよかった。



勝った中国ペアがフクヒロペアに歩み寄り、お互いの健闘を称える姿もグッとくるものがあった。

実は、自分たちも「東京オリンピック」に向け勝負をかけていた。

それは、The Cambridge Grammar of the English Language (CGEL)の翻訳を東京オリンピックまでに全巻刊行という戦いだ。
(The adventures of Sukelock Holmes (CGEL)も参照:http://tanaka0871.naganoblog.jp/e2433895.html

このプロジェクトに参加させてもらい第4巻を訳したが、無事、東京オリンピックまでに全巻の翻訳が刊行された。



21世紀最大の英文法書といわれるだけのことはあり、「すべてを網羅」していると言っても過言ではない。
(サイズも規格外で総ページ数1800ページ超え)。

たとえば、普通の文法書ではサラっと扱われる接続詞や句読点についてもがっつり扱われていて、翻訳本(『英文法大事典』第8巻)で300ページほどある。

今回はandをとりあげてみよう。

andは「順接」といわれ、「何かと何かを対等につなぐ」働きをする。
(『英文法キャラ図鑑』 関正生 著より)



andは「そして」と訳されるが、「そして」と訳せないandもある

ここでは、英文法大事典から and の2つの用法を紹介する。

① If(条件)を表すand



とくに、「命令文 and ~」のときに、andがifのような意味を表す。

この「命令文 and 命令文」は「公式」のように扱われることが多いのは、andがifを表す「特別感」があるからだろう。
(『徹底例解 ロイヤル英文法』より)



② but(逆接)を表すand



これらの例では、andは「順接」という基本的な意味を放棄し、もはやbutのようになっている

andとbutの境目は意外とグレーなのである。



この英文法大事典シリーズの完成はゴールではなく、ことばの新たな探求への始まりなのである。

カッコよくまとめたが、要は「番宣(本の宣伝)」であった・・・
(「ワンチーム」になってオリンピックを目指すアスリートのように頑張って完成させたので、是非、全国の図書館に入れてほしい!)




****「ヴィトゲンシュタインのパラドックス」 ****

アメリカの大学院で修士号を取った卒業生が、一時帰国で遊びに来てくれた。



学生のころからすでに大学院生のような雰囲気を醸し出していたため、「ベテラン」という愛称がついていた学生だ。
これからまたアメリカに戻り、博士号を取得するとのことであったが、すでに博士号を取得しているかのような風格を漂わせていた。

そんな「ベテラン」も、「逆接」のandには手を焼いていたようで、以前、こんな ↓ ラインをもらっていた。



今では「感覚」で分かるようになっているが、説明はできないとのこと。

わかるが説明できない」-これを「ヴィトゲンシュタインのパラドックス」という。



ことばはミステリアスで面白い。

なお、逆接のandの補足資料は、こちら ↓

https://note.com/yuusyoo174/n/n8d30f566c810

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