The case study of Sukelock Holmes (ch. 10)

スケロック・ホームズ

2019年07月18日 21:09

以前、この人たちとばったり遭遇した。



信号待ちの短時間だったので、
「うちに来るときは、喜んで充電させてあげますね」 と伝えられなくて残念だった。

ちなみに、「うちに来るとき」は未来のことだけど、will comeではなく現在形のcomeを使って ‘when you come,…’ という。

今回は、when節やif節などの時制について扱う。


10. tense in when/if clauses (will or not)

問題: 次の文の違いは? 

    


ここでのポイントは、when節の中にwillがあるかどうかで解釈が異なるということである。



「~するとき」のような「時」を表すwhenや「~なら」のような「条件」を表すifの場合、未来の出来事に対しても、現在形が使われる



これはwhenとifに限ったことではない。





なぜ、whenやifなどには、未来のことでも現在形が使わるのだろうか?

この点に関しては、いくつか「仮説」がある。
今回は2つの仮説を取り上げる。

① all-or-nothing 説



上の2つの文は、「起こるか起こらないか(all-or-nothing)」がはっきりしている



(1a)と(1b)はともに(i)の100%のケースを表している。

つまり、「そのような事態が実現した (=100%起こった) 場合」について述べている。

このように「実現した」ことを表すために、「事実」を表す現在形が使われる

これに対して、willは「推量」的な意味があり、「100%起こるかは分からない」場合に使われる。



つまり、whenやifは「実現する」場合を想定しているため、現在形が使われる



以上のことをまとめると、次のようになる。




② 相対テンス説

①の「all-or-nothing説」の反例として、whenやifにwillが現れる場合があることがあげられる。

反例1: 意志を表すwillはif節にも使われる。




反例2: 文脈によっては(意志を表さない)willがif節で使われる。



上の2つの文は両方OKであるが、意味が異なる。

具体的には、ifが表す「時間的な順序」に関係している

通常、‘if A, (then) B’は、「もしAなら、(その場合は) B」という意味を表し、if節は時間的に先にくる。



この時間的な流れは上の最初の文にも当てはまるため、次のような意味になる。

<If you do the shopping, I’ll give you some money.の意味>



つまり、if節にwillがない場合は、if節の出来事が時間的に先に起こることを表す。

しかし、状況によっては時間の順序が「逆」になる場合もある。それがもう一方の文である。

<If you will do the shopping, I’ll give you some money.の意味>



つまり、if節にwillがある場合は、if節の出来事が時間的に後に起こることを表す。



ただし、このような「時間的な順序」でifが使われることは稀であるため、通常、ifにwillは現れない



つまり、「普通」の状況ではwillを使うことがないだけである。

以上のことをまとめると、次のようになる。



このように、仮説が2つ以上ある場合は、どちらが妥当性が高いかを見極める必要がある。

具体的には、より多くのデータを説明できる方が記述的な妥当性が高いことになるが、かといって説明が複雑でごちゃごちゃしていては理論的な妥当性は低いといえる。

シンプルかつ的確にデータを説明できる仮説を追求する必要がるある。

“What physics looks for: the simplest possible system of thought which will bind together the observed facts.” (Einstein)
(物理学が求めているのは、観察された個々の事実を結びつけるための、最も単純な思考のシステム。 -アインシュタイン (物理学者)-)

言語は「一筋縄」にはいかない。

ゆえに、面白い。


(to be continued)


***** <補足コメント:「通常」に隠された事実>****

「普通」の状況が目立つという点では、if節の後のwillとbe going toの対比も似ている。

まず、willとbe going toの違いは、次のようになる。



つまり、willは「今、決めた」感が強い。

そのため、if節の後の文で使うのが「しっくり」くる。
というのも、「ある条件(=if節)」が与えられた後で、「じゃあん、こうしようかな」という意味を表すには、willがぴったりだからである。



しかし、be going toが可能な状況もある

この場合は、「ある条件が与えられる」前からすることが決まっていることを表す。



ただし、このような状況は稀であるため、「普通」はifの後の文ではwillがくるだけである。

このように、「普通」のケースによって「隠されている」事実を明らかにすることで、言語に対する知見がさらに深まるといえる。

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